株式会社 Virtuous Circle

株式会社 Virtuous Circle

株式会社FAR EASTでは全国各地の福祉事業所と提携した商品作りに取り組んでいます。

私達と、株式会社En Shaが運営する就労継続支援B型事業所ワークサポート・ソニアの縁を繋いでくださったのは株式会社Virtuous Circleの食品事業部川井さん。

「福祉事業所に通う利用者の皆様が活躍出来る将来の選択肢を増やしたい!自己実現出来る機会をもっともっと提供したい!」と熱く語る川井さんの熱意溢れる活動に共感し、これまで自社内で行っていたパッケージ商品の検品・充填作業を複数の福祉事業所に外部委託する運びとなりました。

株式会社Virtuous Circleは、障がいを持つ人々が社会の一員として活躍出来る場を提供することで、日本経済に寄与し、能力を認められる社会が当然のものとなるようにという理念のもと、福祉事業所向けコンサルティングや福祉事業所へのリパック等の事業機会の提供、それに伴う食料品の輸入、放課後等デイサービスの運営などを通して、福祉業界の支援に取り組まれている企業です。

従来の低工賃に偏った単純作業ではなく、難易度は高くとも、障がい者が従事可能なより収益性の高い作業を福祉事業所へ提供することが施設の収益構造の改善に繋がり、障がいを持つ方々への新たな雇用創出と待遇改善を図ることになります。そのために、閉鎖的になりがちな福祉業界内の連携と効率化、情報共有ネットワークの構築を精力的に働きかけてこられました。

株式会社 Virtuous Circle (ヴァーチュアスサークル)
食品事業部 川井篤士さん

障がいに関わらず自分の未来を自分で選択できる機会を

『日本国内の障がい者総数は936.2万人、実に人口の7.6%は障がい者当事者ということです。その中で18歳から65歳までの年齢層で就労可能とされる就労対象人口が約390万人と算出されています。その内の約30万人が福祉事業所などの施設利用者、約50万人が一般企業や官公庁などへの一般就労者です。その他はいわゆる在宅障がい者で外に出られない方も多い。つまりは、障がいを持つ390万人のうち、80万人程度しか働きに出られていないわけですね。今、日本は人手不足で外国人労働者枠を改正法で新たに広げ、40万人ほどの雇用実績拡大を目指していますが、本来は働きたくても働けないこの300万人の雇用機会を提供する方法を各業界が知恵を出し合って優先的に考えるべきだと思うんです。

私達は障がいを持つ子供達が通うデイサービス事業も運営しています。福祉施設に通う子供達は卒業後何になるのか?今まで福祉事業所が請け負う仕事というのは本当に簡単な内職作業ばかりで、将来はもうそれしかないと幼少期の時点で選択肢が決まっていました。子供達がこれがやりたいんだ、と自分で自分の将来を選べるような色んな選択肢を増やしたい、この現状を変えたいと思ったのが、福祉施設への事業提供を始めた大きなきっかけです。

障がい特性によってやれることは様々ですが、その中でもドライフルーツの検品・充填というのは地道にコツコツと一つのことに集中してコンスタントに継続していける作業。福祉施設利用者の方は複雑なマルチタスクは苦手でも、一つのことを数時間も没頭出来る驚くべき集中力を持っていたりします。個性を活かせる事業を、と考え、ドライフルーツを扱う企業数社にコンタクトしました。断られてばかりの中、初めて話を受けてくださったのがFAR EASTさんでした。

通所施設利用者にとって、施設というのは自己肯定感を得て自己実現をする場なんです。仕事をして、対価を得て、努力が認められることで自分自身に自信をつけていくための場です。私の役割としては、企業に紹介できる福祉作業所をもっと増やして、作業所には適正な工賃が得られる事業を紹介することにあります。 また、現在全国の福祉施設が請け負う作業労働の大半は官公需です。民間企業の生産活動を支えられる圧倒的な労働資源があるにも関わらず、福祉の現場と民間企業の提携は依然として進んでいないのが現状です。だからこそ、これからもその架け橋になれれば、と思いますね。』

株式会社En Sha ワークサポート・ソニア

株式会社En Shaが運営するワークサポート・ソニアは山梨県南アルプスの美しい山々と果樹園に囲まれた一帯に位置する就労支援事業所。 障がいを持つ方々が経済活動に関わること、自分自身の努力で賃金を得ること、その過程で仲間達と協力しながら様々な経験を得て成長すること、一連の経験が社会で自立して生き抜くための能力となること。その実現を目指して利用者の本当の自立のために日々新たな挑戦を続けるのは、代表取締役の佐野さんと統括責任者の岡部さん。 既存の福祉作業所の在り方を打開し、質の高い作業を請け負うことで、利用者の自立支援に繋げるために半年前に二人で起ち上げたばかりの事業所には、現在10名の利用者が通っています。 川井さんとのご縁をきっかけに、福祉作業所との協業が始まりました、 FAR EASTの主力商品の一つ、エジプシャン・デーツ。 砂漠の砂嵐の中で育つデーツは、種や砂などが残らないよう厳しい品質管理のもと、幾重にも人の手で検品を行い、パッケージに充填を行います。小さな一粒のデーツを切り開いて、更に細かい砂や異物を取り除くのは、集中力と観察力、地道な作業を効率よく続ける根気が求められる仕事。そのデーツを全粒全て人の手で中身まで検品し、更に透明なパッケージをデーツの果糖で汚さないように綺麗に充填するのは細心の注意と技術が必要です。 エジプシャン・デーツのパッケージ商品が一つ出来上がるまでに、実は何人もの努力と想いが込められているのです。

株式会社En Sha ワークサポート・ソニア 代表取締役 佐野真寿美氏
社会で生き抜くための本当の自立を目指して

『今まで福祉事業所が請け負う事業というのは所謂「安かろう悪かろう」と思われるようなものばかりでした。作業効率の問題も勿論ありますが、一つの仕事が一円にも満たない低工賃であったり、通所日数や時間関係なく全員一律の工賃であったりと、そのような環境下では当然自分の力でお金を稼いでいる、経済活動に寄与しているという感覚は生まれないわけですね。例え厳しい技術が要求される仕事であっても、単価が高く精度も高い仕事を受けたかった。そういう想いから、私達はワークサポート・ソニアを起ち上げました。

多くの福祉事業所が焼き菓子やジャムなどの自主製品作りに取り組んでいますが、高品質で美味しいものが既にたくさんある市場で差別化するのは難しい課題です。私達はそこで競争するよりも、利用者の皆が得意なことを活かし、ルーティン化した作業のクオリティーを上げることで企業のお手伝いをする事業を選択しました。

此処では利用者の皆さんを当然一人の社会人として対等に接します。全て助けて貰って当たり前という考えから脱却し、作業の計画立て、準備、改善案を出し合うまで全てを自分達で行います。本当に必要な少しの手助けさえあれば出来ることはもっと沢山あるんです。可哀想だからという同情の気持ちだけで接することが偏見に繋がり、当人の可能性を狭め、自立の道から遠ざけてしまうと考えています。 障がいと長いこと生きていると自然と自分に秘めた色んな可能性を諦めてしまう。困難にぶつかった時は、じゃあどうやったら出来るのか?をまずは自分で考える。思いつかなければその時は私も一緒に考える。―そうやって自力で困難を脱する方法を見つけるサポートをすることこそが私達の仕事です。

最初は「あれは出来ません、これも出来ません…」の一点張りからスタートだった利用者さんがいました。技術を要するエジプシャン・デーツの検品、充填作業を通して、自分の壁に立ち向かい続け、今まで出来なかったことが次第に出来るようになりました。そしてその頑張りが適正な工賃として還元され、結果に繋がることが自信になったんですね。今や本人の障がい特性上難しい作業まで「あれやりたい!これもやってみたい!」と自ずと何でも手を挙げるようになったんですよ。 対価を得られるということは勿論、高度な作業に携わっているということ自体が生きていくためのスキルや経歴にもなります。高級市場で売られている商品を作るというのは、此処に通う皆にとって大切な意味のある誇り高い仕事なんです。新たな一歩を踏み出す機会があって、変化があって、成長出来ているという自覚を感じられるような活躍の場をこれからも提供し続けていきたいですね。』

株式会社En Sha ワークサポート・ソニア 統括責任者 岡部純氏
福祉業界に一石を、関わる皆で自己実現の場を築く

『長く福祉業界に身を置く中で、従来の福祉事業所の在り方を変えたいと一念発起したところから僕達の新規事業が始まりました。福祉事業所の請け負う作業というのは行政からの委託が多いのですが、実務を通して働くことが活きる活力となり、社会的にも経済的にも自立に繋がるような仕事を利用者さんに提供したいと考えていました。 既存の概念から脱却するためには、民間企業の委託業務も積極的にとりに行けるような攻めの福祉でありたいと思い、東京のフォーラムに参加した際に出逢ったのが川井さんです。「機械化、AI化が進む中でも人の手が必要な場所はたくさんある!」という話を伺い、FAR EASTさんのエジプシャン・デーツの検品・充填作業を請けることとなりました。

ソニアでは三カ月に一回、利用者総会を行っています。そこでは全てをクリアにした収支報告をして、事業所の損益についても皆さんに洗い浚い共有します。もっと高い工賃を稼ぐためにはどうやって業務改善をするかということを利用者の皆が自分達で話し合い、改善策を打ち出します。 以前、利用者の皆さんからもっと稼ぎたい!という声が実際に上がりました。会議で出たのはもっと一日の作業時間を長く伸ばしたいという結論。通常4時間程度だった業務を自主的に一般就労に近い9~16時まで行うことになりました。元々就労意欲の高い利用者さんが多いですが、自主的に考え、改善し、スキルを身につけながら働くことの喜びを感じられる環境があることが大切なんです。

僕達の事業所は利用者の皆を一人の社会人として尊重しています。それはつまり仕事に対して厳しさを求める環境でもあるということです。高い工賃の作業を請け負うには当然それだけの高いクオリティーが求められます。誰かに言われたからやるのではなく、やるもやらないも選ぶのは自分自身であるべきです。FAR EASTさんから業務を請けるようになったことで仕事が生まれ、今まであまり来なかった利用者も足繁く通うになり、副班長を務めるまでになりました。

此処での経験を経てご家族のもとを離れていずれは一般企業に就職する人も出てくるでしょう。それと同時にソニアで施設作業員として直接雇用も出来るような体制づくりを進めています。出来ないことを100個並べるのではなく、出来ることを1個探す。自分はこうだから出来ない、ではない。これがあれば出来る、という考え方で現状を打破する力を此処で身につけて欲しいんです。それが自分で将来を選択する生きる力になる。 福祉という世界は自己犠牲で成り立ちがちですが、企業と同じように互いが互いに利する関係でなければ存続出来ない筈なんです。社会と事業所、施設利用者と僕達。関わる人々皆が対等な立場で協力しあって、これからも共に自己実現の場を創っていきたいですね。』

取材:野中愛子・阿部香澄
筆:阿部香澄