レーズン/Raisin

トルコ

貨車に山積みになったレーズンが卸売市場に着いた。値決めは生産者と仲買人が直接話し合いで決める。

一つ摘まんで「美味しいね」と言おうものなら5kgくらいボンと来て、「あっイヤこんなに食えない」と言うと「トルコ流」と笑う。「農場を見せて」と言ったら何人も付いて来て付き合ってくれる。

道すがら収穫帰りの農婦がワンサカ荷台に乗ってやって来て、すれ違い様に案内役の仲買人が「オーイ日本人だよ」と言えばワイワイ騒いで歓待してくれる。カメラを向けると各々「私を撮んなさいよ」と手招きする。暫しガヤガヤ楽しんで気が付けば道を塞いでしまっていることに気が付く。

トラクターの夫婦がニコニコしながら待ってくれている。みんなに「さよなら」と手を振ると見えなくなるまで手を振ってくれる。イズミールでは終始こんな具合だった。

農場へ着くと辺り一面に広げられたブドウの緑が鮮烈に目に飛び込んでくる。出稼ぎの農婦達は掛け声と同時に一斉に持ち場に散り、真剣にしかも楽しげにワイワイと賑やかにブドウを摘む。

カメラを向けると照れくさそうに笑うがどこか嬉しそうだ。遠くに子供たちの姿が見えたので足を運ぶとお婆ちゃんが孫の揺り篭をゆすっていたり、いい年をした息子がお婆ちゃんに抱きつく姿が目に映る。

とにかく皆仲がいい。ここでも水やらブドウやらイチジクやら沢山出してくれるが、その日からラマザン開始なので彼らは食べない。一行の一人が間違って口に運んでしまい慌てて吐き出す姿が真面目で可笑しい。

枝付きのサルタナレーズンはないかと尋ねると直ぐにその干場へ案内してくれる。

軽い気持ちで質問しただけなのに真剣に話し合いが始まる。あれやこれや言いながら房を揺すって実が落ちるのを見せて「こりゃダメだね」と肩をすくめる様子が如何にも正直でありがたい。

出来もしないことを「No Problem」とは言わないのは助かる。やはり一房一房丁寧に扱うその姿を目にすると、その一粒一粒がありがたい。

筆:佐々木敏行