Georgia Wine

ワインの起源はジョージアにあり 「生娘が素足で葡萄の実を踏みつけ、果汁を搾り取り、地中に埋めた壺に皮も種も丸ごと漬け込んだオレンジ色の白ワイン」 この話だけに惹かれてワイン造りの起源とされるジョージアへ足を運んだ。

紀元前6000年紀、つまり今から8000年余り前にジョージアで世界最古と思しきワインが造られていたというのはある程度有名な話。現代の醸造家たちが苦戦しているナチュラルワインの製法を8000年前に既に確立していたというのだから興味深い。

葡萄の収穫期のジョージア、カヘティ地方は、よく晴れてコーカサス山脈とアラザニ渓谷が雄大で見事なまでに美しい。3日間で11カ所のワイナリーを巡ったのだが、朝7時から深夜1時までずっと試飲が続き、ひたすら山盛りのジョージア料理が振舞われる。苦しいを通り越して意識が混濁したが、雄大な景観、際限のない歓待、深い歴史に裏付けられたワイン‥等々、徹底的に満たされた。

葡萄栽培は細かく管理されているという様子でもなく、いつも通りに育て、いつも通りに摘んで、ずっと昔から変わらない製法で醸すという風情だが、何処へ行っても誰に会ってもジョージア・ワインに対する誇りと自信が凄い。

フランスやイタリアワインの所謂“旧世界ワイン”などもまるでヒヨコ扱いで端にもかけない。“欧州ワインは若造だが、なかなか見どころはある”とでも言いたげだ。

丸太をくり抜いた木船で葡萄を踏み潰し、搾り出た果汁を皮も種も一緒にクヴェブリに放り込み、蓋をして土を被せる。かなり端折って言えば後は出来るのを待つだけ。想像した通り独特の実に「文化的」なワインにひたすら感心した。

ただ葡萄を踏むのが生娘ではなく男だったことを除けば。

筆:佐々木敏行