藤井デザイン事務所 藤井利彦氏

藤井デザイン事務所

藤井さんとの出逢いは2011年FAR EASTの直営店の第一号店、FAR EAST BAZAAR二子玉川店の出店の際。

それを皮切りに、ドライフルーツ・ナッツの量り売り専門店であるFAR EAST BAZAAR12店舗と、FAR EAST初のレストラン事業の挑戦となったCARVAAN BREWERY & RESTAURANT、CARVAAN CRAFT BEER & GRILL、CARVAAN TOKYO、本社オフィスに至るまで、全16店舗の設計と内装デザインを手懸けていただいています。

FAR EASTが新規店舗を出店する際に選ぶロケーションは、様々な文化を担う人々が集う流行の発信地でもあり、ものの価値が決まるハイエンドマーケット。歴史と文化を表した意匠は一貫させながらも、その土地土地の文化に馴染む形に店舗ごとに様々な工夫を凝らしています。

アラビア世界の宮廷のような妖しさと、文明開化時代の日本の洋館建式が折衷した唯一無二のCARVAAN BREWERY & RESTAURANTは『商店建築』にも取り上げられ、その非日常的な空間は話題を呼んでいます。

Q. FAREASTと仕事をする面白さとは?

A. 唯一無二の世界観を表現すること

これも何かの縁か、僕はFAR EASTさんの社長と同郷の札幌出身で、高校生の時にインテリアデザイナーを目指して上京しました。一から全てデザインの業務に関わり、吸収することの出来る個人事務所に十年ほど勤めて飲食店のデザインに携わる中で、三十代で独立し、現在に至ります。

僕は主に商業施設のインテリアデザインを手懸けていますが、FAR EASTさんの店舗に関しては設計段階から内装デザインに至るまでお店造りのほぼ全てのことに関わらせて貰っています。

社長と共に新規店舗の構想を話しながら、建築資材の買い付けにも同行しました。二カ所しか窯元が無いという「上海ブルー」と呼ばれる薄く青み掛かったアッシュグレーの煉瓦や、メソポタミアの紋章をあしらったアンリ二世様式の椅子など、他には無い建材をスラム街のようなマーケットの奥にまで踏み入って探すんです。

レストランの店舗構想を練るために社長と一緒に北海道の旧い農家倉庫を観に行ったり、初めてブルワリーを造ることになった時には山梨まで醸造所を訪ねたりもしましたね。FAR EAST BAZAARが出店を広げる際には、社長と共に全国津々浦々周ってきました。 九州でも関西でも、新規店舗に導入する新たなMDを魅力的に表現するためのインスピレーションを得るために、歴史的建造物から食べ物やお酒に至るまで、必ず現地の文化を浴びるように経験します。社長と揃っておじさん二人、小さなテーブルに向かい合って可愛いパフェをつつきあったりね。面白いですよ。傍から見ている方も面白いでしょうね。

僕の仕事はあくまでも企業が大事にしている世界観をそのまま表すことなんです。勿論そのイメージがなかなか湧かないという時には提案はさせていただきますが、依頼者の表現したいものをいかに忠実に形に出来るかということを大切にしています。

その点、FAR EASTさんはやりたいことがはっきり明確にある。店舗ごとにカラーやMD上の造りなど詳細は異なっても、表現したい世界観というのは徹底して一貫されているんですね。商業施設などのテナント出店をする際には、その館ごとに色々な規制や制約が必ずあります。照明の照度や壁のデザイン、天井の高さ、扉の位置、ショーケースの位置……何に対しても、ブランドの世界観を表現するためには絶対に妥協したくないというのがFAR EASTさんです。それが叶えられない環境なら出店はしない、という選択を採られることもあります。普通は通らないような交渉事も進めるので、毎回その場に同席しながら唯々凄いなあ…と思っています。

一号店の二子玉川店から、もう彼是十年程一緒に仕事をさせていただいていますが、現在に至るまで世界観に対する拘りや意志に一切の振れが無いので、そこに対する提案の苦労は全く無いですね。だから、僕としてはやりやすいことこの上無いんです。よく、今回もうちの社長の無茶振り大変だったでしょう?なんてことを社員さんに笑いながら訊かれますが、大変だったことは正直一度も無いんですよね。大阪の店舗を造る時にはとにかくオープニング日まで終わらなくて朝まで社長と大工さんと僕、男三人で工具を握って作業もしましたよ。それだって楽しくて仕方なかったですね。楽しませて貰ってばかりです。

それぞれの店舗に想いはありますが、今まで関わらせていただいた中でも、三年掛かりで造成から携わったCARVAAN BREWERY& RESTAURANTへの想い入れはひとしおですね。飯能一の景勝地、あの大自然に囲まれた他に無い環境を取り入れ、席ごとにその魅力が楽しんでいただけるように設計をしました。まだFAR EAST BAZAARしか店舗が無い時代から、いつか飲食店をやりたいんだと社長は仰っていましたが、それから本当にFAR EAST BAZAARから急激な変化を遂げ、進化し、パワフルにやっていることをどんどん広げていく姿を傍で見られて、そんな会社の成長に一緒に携わらせていただけて、感慨深いものがありましたね。付き合いがいがあると言いますか、こんなに熱い会社と仕事させていただけるっていうのは本当に有難いことなんです。

Q. FAR EASTと共にこれから挑戦してみたいことは?

A. 自分が全く知らない世界の表現をしてみたい

その場に留まることなく、常にその時代を先読みしながら前を向いて新しい事に挑戦するFAR EASTさんとの仕事は、僕にとっても初めての経験ばかりで試行錯誤の積み重ねです。みんながまだ知らない世界の文化を届けるというブランドコンセプトの通り、僕にとっても仕事を通して知らない世界を知ることができる経験の場なんです。それが純粋に楽しくて嬉しいですし、知らないことをもっと知りたいと思う気持ちが増えましたね。あとは、FAR EASTさんのスタッフの方々は熱い方ばかりで、いつも一生懸命頑張っているそんな皆さんと関わっていると感化されて僕も頑張ろうと思えるんです。未開の新しい分野に挑戦を広げるFAR EASTさんと一緒に、今までにない自分の全く知らないことをやってみたいですね。これからの新たな挑戦も一番傍で見せていただけること、楽しみにしています。

取材:野中愛子・阿部香澄
筆:阿部香澄