FAR EAST FACTORY

Q. 此処で働く面白さとは?

A. 萩原さん: 生産者からお客様まで関わる全ての人の顔が見える

FAR EASTでは原材料の輸入から製造、13店舗での直営店で販売するに至るまで全てを一貫して行っています。世界中から集めた自社輸入のドライフルーツやナッツ、椰子の花蜜、カカオなど、珍しい上に上質な食材をふんだんに使って商品造りを行えるのは他にない贅沢な環境だと思います。そういった食材が手に入るお陰で、私達は白砂糖や余剰な添加物を使わず、自然本来の味わいを活かしたジェラートを作ることが出来るんです。素材をたっぷり練り込むことで、空気の含有率が低く密度も味も濃厚なジェラートになります。

ジェラートの起源はアラビアの氷菓シャルバートだとも言われています。精製した白糖が存在しない当時、人々は一体どうやって氷菓を造っていたんだろう?と考えた時に、きっと砂糖の代わりにデーツや果実をたくさん使っていたのではないかと思い至ったところから、私達のジェラート造りは始まっているんですね。本来在るべき起源を大切に、余分なものは使わず自然の美味しさを最大限に楽しんでいただけるジェラートでありたいと思っています。その中でも、動物性由来の原材料を使わないヴィーガンのジェラートはまだ日本のジェラート界では発展途上の分野。これからもっと力を入れて開発に取り組んでいきたいところです。

仕入れから販売まで一貫して行うことで、国内外の生産者さんの顔からお客様の顔まで見えるのもFAR EAST製造部ならではの面白さ。自分達の手で造った商品にどのような反響があったのか知ることが出来るのも此処でジェラートを造る遣り甲斐の一つです。大量生産重視の大手メーカーでも、小さな個人店舗でも出来ない、小回りがききつつも機動力のある商品開発が行える設備環境も揃っているので、存分に拘った商品造りが追求できるところも愉しいですね。

商品造りにおいて大切にしていることは?

A. 萩原さん: アラビア文化と日本文化、双方の魅力を兼ね備えた商品造り

私達は「アラビアン・ジェラート」というジェラートの起源に着想を得た唯一無二のジェラートを造っています。そこで大切にしているのは、アラビア世界の文化と日本の文化を融合させた文化的な商品造りです。 アラビアの文化はアラベスク模様に代表されるようにシンメトリーのデザインで空間を綺麗にきっちり使うことで繊細で緻密な美しさを表現しますが、日本の文化には「侘び寂び」という概念があるように敢えて空間を残して自然にあるがままのアシンメトリーな歪な美しさを表現します。 味わいに関しても、あらゆるスパイスを使い幅広い香りと味わいを表現するのがアラビアの食文化だとすれば、深みや旨味といった奥行きを表現するのが日本の食文化。その両者の美しさと美味しさを取り入れ、季節の素材を使いながら、ストーリーとリアリティーのあるジェラートやパフェを造ることを常に商品開発の際の念頭に置いています。 大切に商品を造るということは、食材を大切にするということ。商品造りを通してフードロスの問題にも取り組んでいます。味は美味しいのに形が歪であったり傷がついているが故に市場には出せなかったりする規格外のフルーツを全国の農家さんから分けていただき、果汁の一滴も零さないように大事に手作業で仕込みを行います。 此処では、全員未経験から始め、家庭と両立して働く女性スタッフが多いです。スタッフのみんなが手懸けたジェラートが関わるご家族にも誇れるものであって欲しいんですよね。お客様の感動は勿論ですが、一口掬って食べた時に、店頭でのお客様からの反響を目にした時に、自分自身の仕事に感動できるような妥協ないジェラートをこれからも造りたいです。

取材:野中愛子・阿部香澄
筆:阿部香澄