CARVAAN BREWERY 木村・大浜

Q. 此処で働く面白さとは?

A. 木村さん: 非日常的な空間の中で愉しむための文化的なビール造り

『CARVAAN BREWERYのビール造りの面白さは、旧き良きビールの文化の表現にあります。ビールブームの中で人気のスタイルに淘汰されて廃れゆくスタイルが、その国では今でも当たり前に愛されているものだったりするわけです。皆が忘れ去ってしまっていた大切な文化をこの日本で蘇らせることに言い知れないロマンを感じますね。最先端の流行だけを追うのではなく、ビール文化全体のルーツを掘り下げながら、日本のビール史に残るようなものを造りたいです。

また、ビール市場の中でも特異性・独自性のある「ブルワリー&レストラン」という業態であることも面白さの一つではないでしょうか。ビール単体だけでなく、この特別な非日常的な空間で楽しむことが相乗効果となってお客様の経験価値となる。誰と、いつ、どのようなシーンで飲むのか、そういうシチュエーションの違いによって、ビールの楽しみ方や味わいに多様性が生まれると思うんです。

あとはレストランが併設されていることで、多くの人と関わりながらビール造りに携われる点も大きな魅力ですね。僕達造り手と、そのストーリーを語ってくれる出し手(サービススタッフ)と、そしてそれを飲んで下さるお客様の想いが繋がって、ビールの価値が決まります。お客様に提供する場が近いので、そのインパクトがダイレクトに感じられるのも此処でビールを造る楽しさです』

A. 大浜くん: ホップ栽培から醸造、提供・販売までの全てを自分の手で

『僕は学生時代にアルバイトとして入社し、卒業と同時にこの春から晴れて社員となりました。ずっと大好きなクラフトビールを造りたいと思い、FAR EAST入社以前も様々な場所でビール造りを学んだことがありました。

そんな中でCARVAAN BREWERYの面白さは,とにかくやれることの幅が広いことですね。 完全分業制だとビールを造っている感覚がなかなか味わいにくいものですが、此処ではホップ栽培からビール造りの全てに自分で関われるんです。日本で自社でホップを栽培することは簡単なことではありません。それを仕事の一環として挑戦出来るのは夢があって楽しいですよ。地元の飯能のホップを作ることで、土地の価値をブランディングできるということにも遣り甲斐を感じます。

あとは歴史を紐解いて文化を辿ったビールを造るというコンセプトが何よりも面白いところだと思います。現代のクラフトビールはアメリカの流行のスタイルが主流ですが、売れるためだけに造るのではなく、長い歴史の中で途絶えることなく綿々と受け継がれてきたビールの文化を尊重した本当に意味のあるものを造っていきたいです。』

Q. 商品造りにおいて大切にしていることは?

A. 木村さん: いつでも素直に心を拓くことが商品開発のヒントを掴む

『なるべくシンプルに、という点ですね。僕達のビールは何か一つの基本モデルに微調整を加えてカスタマイズして造るのではなく、種類ごとに全てゼロから造っています。だからこそ、複雑性を持たせずに、ビール文化のルーツを素直に再現することに徹底しています。 レシピが現存しない古代のビールを造る時は、何とか少ない情報を搔き集めながら、きっとこんな材料でこう造っていたのではないかという想像力が必要になります。そんな時は日々の生活の中でもヒントが無いかどうかいつも考え続けるようにしています。そうでないと、何かきっかけになる大事な情報がその中にあっても何気無く見過ごしてしまっていることが多いと思うんですよね。ずっとそればかりを考えて行動していると、ビールには関係無いような場所で誰かが何気無く話した言葉から閃きを貰ったりもするわけです。常日頃から心を常に拓いて、周囲の話に素直に耳を傾けることも大切にしています。』

A. 大浜くん: 目の前の経験全てがビール造りの糧になる

『今はインプットの時間だと思って「聞く、見る、書く」など基本的なことをしっかりしようと心掛けています。分からないことはすぐに素直に恥ずかしがらずに訊ねるようにして、吸収しながらその知見を磨いていこうと思っています。 あとは、休日も大事なインプットの時間だと思って楽しんで色んな場所に足を運んでいます。ビールに限らず、日本酒など他のお酒造りのことを学んだり、大麦の収穫に参加させてもらったり、音楽や美術などに触れたりする機会も作っているんですよ。最近では英語の文献を読むことにも挑戦していて、クラフトビールの勉強をしに本場のポートランドにも行ってきました。もの造りをするには何事も視野を広く持って、まず源流を知ることから大切にしていきたいですね』

取材:野中愛子・阿部香澄
筆:阿部香澄