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雄大で多彩な自然を有し、
その美しさから「アフリカの真珠」と称されるウガンダ。

この国の中央部に広がるのはルエロ平原だ。なだらかな丘陵に葉を大きく広げて生い茂るバナナのジャングルの深い緑色と、燃えるように鮮やかな赤土、そして突き抜けるように高く澄んだ空の青とのコントラストが目にも眩しいほどに鮮やかだ。

たわわに実るマンゴーやジャックフルーツの木の下では村人達がのんびりと腰を下ろし、辺りを駆け回る子供達は初めて目にする外国人の私達に歓声を上げて手を振る。

見渡す限り一面に広がるバナナ畑の真ん中を、土煙舞い上る未舗装の一本道が地平線まで続く。
なんともウガンダらしい長閑な風景が広がる一帯だが、この土地は1981年から1986年のヨウェリ・ムセベニら国民抵抗軍 (NRA) がゲリラ闘争で潜んでいた場所だ。

かつて美しいジャングルは全て焼き払われ、焦土と化した過去を持つ。

そのため、事業形態を変え、現在では自社農園の22km圏内にある100軒の農家から農産物を買い受け、それを加工し、国外へ輸出することを主要事業としている。

主な取引はオマーンを主とする中東地域への生鮮野菜や果物の輸出だ。

ルエロはパイナップルの一大産地。FAR EASTとウガンダのJALI村が取り組んでいるドライパイナップルプロジェクトの成果を耳にしたアブドゥルさんが、日本の市場に挑戦するためにドライフルーツ事業を新たに始めることとなった。

私達の訪問を何よりも待ち望んでいたというアブドゥルさん。

私達を迎えるために工場は完璧にセッティングされ、稼働日でないにも関わらず目の前でパイナップル加工の工程を丁寧に見せてくれた。

此処で働くのは6人の従業員。

18年もの間、アブドゥルさんと共に会社を支えてきたのは、契約農家を纏める責任者のゴディフレさん。製造現場のリーダーは紅一点、エスタさんだ。

パイナップルの種類はSmooth Cayenne(スムースカイエン)種。オーガニック認証を受けた40軒の農家からパイナップルが工場に集められる。収穫されたパイナップルはまず壁面は炭、屋根は茅葺で出来た伝統的な作りの貯蔵庫に加工を待つまでの間ストックされる。炭で作ることによって果実が腐りにくくより長持ちするという。

それを井戸水で洗浄し、葉を取り皮を取り、スライサーで扇形にスライスし、ネットを敷いたステンレス製のトレイに隙間なく並べて乾燥機に入れる。

この工場には電気も水もない。ガスはウガンダではとても高価だ。

かつてはブルキナファソ製のガスドライヤーを使用していたが、現在ではソーラー熱とジェネレーターでおこした電気で軽油に火を点け、タービンで送られたその熱風を利用して加工している。

3つのコンパートメントドライヤーを14時間稼働させ、一度の稼働で計45kgのドライパイナップルが出来上がる。

1つのパイナップルから葉や皮を剥ぐと、使える実の部分は50%しか残らない。

そこから加工して乾かすと更に15分の1に凝縮する。
誰が言い始めたか、世界一と称される程に美味なウガンダのパイナップル。フレッシュのままでも頬が落ちるほど甘いが、ドライにするとジューシーな果汁が凝縮した分、その濃蜜な香りと味わいはまた格別だ。

アブドゥルさんはこの工場を起ち上げるにあたって、まずは複数の契約農家をグループにして自助組織化し、教育活動に注力することから始めた。

1グループ35人以下で計12グループの編成。その各グループ内では毎年交代制でリーダーを一人選任する。

各グループに一台ずつ自転車を寄与し、リーダーはその自転車で他のメンバーの農園を周って収穫状況の確認をしたり、毎週アブドゥル氏が開催する農業に関する勉強会で教わったことをグループ内にシェアしたりする。

この農家グループはマイクロファイナンスの機能も併せ持つ。グループのメンバーは少しずつ同額の資金を出し合い貯蓄を重ねることで、新しい設備投資や、グループ内の誰かに緊急事態が起きた際など、必要な時にそこから資金を借りられるシステムになっている。相互に責任が生じる分、意外にも返済率は100%だという。


アブドゥルさんは、助成金を出して、農民達の井戸作りも支援している。安全な飲み水が確保出来るように自社の敷地にある井戸も村人達に無料で開放しており、黄色いタンクを頭に乗せた子供達が水を組むために会社の門を自由に出入りする。

特に注力して取り組んでいるのは環境問題だ。

ウガンダの農家にとって、昨今の気候変動問題は収益に関わる深刻な問題。アブドゥルさんは、ゲリラ戦で燃えてしまったルエロのジャングルを再生させるために、速く育ち、すぐ収入に繋がるような果実をつける植物の種や苗木を無料で農家達に分けている。

此処では単一栽培をせず、すぐに苗木が育ち、僅か1年で実をつけるアップルバナナや、豆、野菜、パイナップル、作物を食い荒らす虫を敢えて寄せるためのトウモロコシなどを1エーカーごとに混合して植え、その時期も土地ごとにずらしていく事で、年中一定の収穫量が得られるように農家に指導をしている。

また、オーガニックではないものが混じってしまわないように、それぞれの農家の耕作面積によって収穫量の予想を立て、取引量を予め予測することで、持続可能な無理のない取り引きを続けているという。

アブドゥルさんに連れられて、パイナップルの生産者の一人、ローレンスさんの農園と自宅を訪ねた。

農園には足の踏み場もないぐらいにパイナップルの葉が広がる。

アブドゥルさんと知り合う以前、ローレンスさん一家は農作物を安値で業者に買い叩かれ、三人座るのがやっとというような粗末な家に暮らしていた。

彼は今や大きなレンガの家にたくさんの子供達と共に生活している。

「子供を学校に行かせられるのも、こうして家を建てられたのも、貴方達が日本で私のパイナップルを売ってくれるおかげです。

私には夢が出来ました。それはこの農園を広げること。そしてもっともっと美味しいパイナップルを日本に沢山届けますよ!」と語るローレンスさんの眼差しは明るい。

工場や生産地を見せて貰う中で、こちらが提案した改善点をすかさず熱心にメモに書くスタッフ、写真に収めて記録を残すスタッフ、私達に実際デモンストレーションして見せてくれるスタッフと、アブドゥルさんの工場では各々の役割分担が徹底され、互いの息がよく合っていて無駄のない立ち回りで動く。

一歩進んでは三歩下がる……が常の途上国ビジネスで、ここまで統率がとれ、合理性を追求している現場は他に類を見ない。

農園の案内から生産者の元への同行と、陽がすっかり落ちてお互いの顔が暗闇の中で見えなくなるまで私達を案内してくれたアブドゥルさんがその想いを熱く語ってくれた。

「何よりも大切にしているのは“情熱”と“仲間”なんです。最初は乾燥機も無く、天日で干すところから始めた。小さなスタートであっても、私達は此処までやってこられたのはひとえに仲間のお陰です。」と話すアブドゥル氏。

陽気で熱意に溢れる彼の傍らで、その言葉を深く頷いて聞く仲間達。その表情は皆、信頼と誇りに充ちていた。

If you walk around the world,
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