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方丈記 -印度にて- FAR EAST Inc. Blog

印度にてもう22年も前の話になるが、インドのゴアという変な場所に長居していた頃の話。フランシスコ・ザビエルのミイラが眠っているある種の人達には定番のスポット。21歳の佐々木少年はビーチ沿いの掘立小屋に間借していた。ペンキの剥げたモルタル壁には鴨長明の方丈記の一節が、「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。玉しきの都の…」。頻繁にいろんな人や動物が出入りしていたので誰が出入りしていたかは全然覚えていないが、先日お付き合いのある業者さんとの四方山話のなかで互いにインドにいた頃話になった。「昔のインドは良かったですなァ」的な話を暫くして別れのだが、其の晩「勘違いでなければ確かあの鴨長明の方丈記の部屋で…」とメールが入っていた。お互い姿が変わり過ぎていてその当時会っていたことに気がつかなかったのであるが、そう言われてみれば確かにあの時のあの人に違いない。何せ佐々木少年は3カ月も風呂に入っていないので垢で真っ黒なうえに15センチほど髭が伸びていた。おまけにオレンジ色の布をまとってサドゥー(遊行僧)気どりで自己陶酔の真っ最中だったので、スーツなんか来てる姿が全く重ならないというわけだ。メールは「何か一周したような感じです」と感慨深げに締めくくっていた。今其の当時の僕を知る人はほとんど周りにいないので貴重な人物なのだが、実はかなり恥ずかしい。あれから歳月を重ね、彼の地へ足を運ぶこともなくなったが、あれはあれで夢のようなひと時だった。