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根っこに教えてもらう FAR EAST Inc. Blog

大麦の根

FAR EASTの田辺です。

今日は根っこに教えてもらったことをテーマに投稿します。

「自然を先生にして自らの判断力を培う」

自然栽培を成功させるうえでとても大切なことだといわれる。自然を先生にするといっても、さまざまある。そのひとつに観察することがある。だれかの教えに従うのではなく、目の前の野菜、土の姿からヒントを得るというものだ。

どんな偉人でも間違うこともある。場所や人が変われば、農業スタイルは同じというわけにはいかない。自分の責任で行う農業である以上、自分自身が観察し、次の行動を判断する必要がある。

というわけで、今、栽培している目の前の麦を見てみる。

育ちのいいところと悪いところがある。地上部だけではなく、麦の根を見てみた。

肥料・農薬を使わないわけだから、目で育てるという言葉のとおり、しっかりと観察してみる。

それが上記の写真だ。しっかりと大麦が根を張っている。種まきから50日ほどが経っている。

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上記のように育ちのいいところと悪いところがある。開墾仕立てだから栽培前の状況の影響を強くうける。ここでいえば、左は茶畑。右は草畑。お茶の木の後は、麦が全く育っていなかった。播種から1ヵ月以上、経って差が明確になってきている。改めて下を見ようと土を掘る。

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奥が茶畑。手前は畑だったところ。奥の部分で麦の育ちのいいところは、大家さんがお借りする前に大家さんが木灰を播いていたところ。

それぞれの場所の麦を掘り起こしてみた。

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炭がまかれていた場所(左)お茶の木の後(中)畑だったところ(右)

同じ一枚の畑でもこれだけ違う。真ん中の小さな麦はお茶の木の後。葉の色も淡い。多くの場合、生育中にこそ、土を掘ってみるべきと九州の自然栽培農家、川越俊作氏より学び、自分でも実践してきた。多くの現場で感じたことだ。ここでも掘ってみると、物のみごとに違いがでた。

茶の木の植わっていたところは、麦が根をはれていない。細い白根もほとんどなく、ぶつぶつと切れた感じになっている。地主さんが炭を播いてしまった場所がある。そこは、水分を保つことができたのかよく育っていた。(左)肥料を与えたかのように緑が深く、麦の丈が最も長い。根はもちろん豊かだ。次に炭を播いていなくて、お茶の木ではなかった畑だったところの麦を抜いてみてみた。それが右の写真。

抜いてみて驚いた。やっぱりという感じだったが、根の張りが違う。たくましく細かく、しっかりと根が張っている。

炭を与えた方は、水分を保つことができたのでしっかりと麦が育ったことが想定できる。しかし、麦は土中に水分があるので必要以上に根を伸ばす必要に迫られない。だから丈は伸びるが、根のはりは炭をやらない場合に比べると葉の丈よりも短い。

一方で、炭を与えない方の麦はたくましく育っている。炭にもなにも頼らない分、根がしっかりと水をもとめて育ち、細かな根をしっかりと蓄えている。

土づくりという観点からすると、こちらの根が張っているほうが当然、のちのち腐植が豊かになっていくことが想定される。

次にこちら。

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両方ともに育ちがわるい場所の麦だ。片方はこれまで畑ではなく、草原だったところ。片方はお茶の木の後。さて、どちらが草原の後で、とちらがお茶の木の後かわかるでしょうか。

そう。お茶の木は下。草原の開墾した後が上になります。お茶の木の後はやはり、根を伸びることができていない。あまりにも未分解なお茶の木の根が土中にあること。抜根後、今回はやむを得ず、すぐに播種したので、もろにこの影響がでた。発芽時に水と温度が奪われたという決定的なことが起きてしまったこと、が考えられる。一方で草原だったところは、畑ではなかったので、正直、作物をいきなり植えるには厳しい条件だったことが想定される。しかし、麦の根はしっかりと伸びていた。当然といえば、当然のことだが、播種前の環境をどれだけ整えるのが大切かということがわかる。

お茶の木の根はしばらく残ることが想定されるので、もう少し根の強いものを植えること、客土をすること、燕麦を密植すること、果樹を植えることなど、試験的にいくつか春に実験しようと思う。

いずれにしても、こうして掘ってみて改めて自然栽培の原理原則を目の当たりにする。

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つぎにこちら。それでも偶然かもしれないとまだ疑いながら、お茶の木の後で同じように生育の悪い3か所を見てみた。左の写真のようにすべて根がしっかりと晴れていなかった。いかに未分解のものがあると根をはれないか。特に畑作物の麦は木の根は強すぎるといえる。山と畑と田んぼは環境が違うことがわかる。お茶の木はやや山に近く、それを畑にしていくにはどうしても時間がかかる。地域でもお茶の木の後は3年は作物が取れないといわれる。一般的には酸性だからといわれるが決してそれだけではないように思う。

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右側の麦だけが、前作が、草原だったところの麦。やはり根の張り方が違うのが印象的だった。

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左から1番目と3番目は畑だったところで、一番根の張りがいい。2番目と3番目は炭がまかれていたところ。5番目は開墾まもないところ。

自然栽培の場合、理想とされる土は「あたたかく・やわらかく・水もち水はけのいい土」である。

この条件は、土の中の過剰な養分を取り除き、一方で腐植が豊かになってきたときに整う環境だ。こうした土を目指すわけだが、作物が育っていないとき、この逆のことが起こっていることになる。

お茶の木の後とそれ以外の差も、面白いが、炭のあるところと、ないところの差もおもしろかった。炭がある方が、上に伸びているが、根がしっかり張れていない姿は印象的だった。

自然というのは面白い。以前ある農家に自然界は寸分も狂わないといわれたが、この部分に関してはそうだった。

自然栽培においては、「山は山・畑は畑・田んぼは田んぼ」という格言がある。

自然界といっても多様であって、野山の姿だけを自然と考えがちだが、自然界には畑もあれば田んぼもあり、水辺もあれば川辺もあれば海辺もある。そしてその場その場に特性がある。人と畑の数だけ農業のスタイルがある。

その特性を無視して栽培したとしてもうまくはいかない。肥料・農薬を使うのであればまだ補えるが、肥料・農薬を使用しない自然栽培ではその環境の影響をより大きく受ける。

開墾してすぐに畑になるかといえば、やはりそうではない。しかし、時間をかけてここも畑にしていく。その時間を少しでも詰められるよう、さまざま試験を続けたい。