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Be ambitious FAR EAST Inc. Blog

12月18日、路面が凍てつき、雪が舞うなか飯能発一行17名は車6台に分乗、南三陸町の歌津・田の浦へと向かった。この日は隣町の青梅から初参加した「行列のできるラーメン屋」が豚骨ラーメン200食を、定食屋がモツ焼を浜の番屋で振る舞った。冷たい浜風が厳しく吹き付けるなか黙々と炊き出しの準備をしていると、3人の婆ちゃんが寄ってきて「まだ一度も物資をもらってねェの」と謂う。相も変わらず「屋根だけ残った家」の被災者には「支援物資」を受け取る「資格」がないということだ。この日の支援物資は、湯たんぽ、ストーブ、ネックウォーマー、カイロ、毛布、布団、冬服、餅、そば、酒、調味料、お菓子のほか洗剤、ティッシュペーパー、コタツ、自動車、チャリンコと相変わらず幅広い。津波の被害が甚大であったこの浜には被災した人たちが朝早くから待ちかねてズラリと並ぶ。先の婆ちゃんは、こうした場合大抵出遅れてしまい、何を貰おうかと迷っているうちに物資を取りそびれてしまうので、少し場所を外して婆ちゃんには優先的に配ってみるが必要以上には取らない。その後浜で一斉に配ったときには、案の定何も取れていない手ブラの婆ちゃんの姿があった。「前に貰ったから今日はいいの」と譲る若い奥さんもいれば、物資を取りに来れない近所の年寄りの分を必死にかき集める漁師もいる。「卑しさ」などとは無縁の「必死の争奪戦」と「誇り高き譲り合い」が繰り広げられ、ひと段落つけば、皆一様に満足気な面持ちで「ありがてェ」と謂い、そろそろとラーメンの行列に並ぶ。浜風が容赦なく吹き付けるなか文句一つ謂わずに並び、ようやく順番が回ると、悴んだ手で身体を震わせながらラーメンをすすり、「ウメェ、ウメェ、まんずありがてェ」と皆口々に謂う。ラーメン屋の主人もご満悦だ。ここではラーメンを作ると感謝される。美容師がいつものように散髪をすれば感謝され、運送屋も物を運べば感謝される。感謝など望むはずもないのだが、兎に角ここでは「ありがてェ」のである。この浜には3度の大津波が襲い、防波堤、神社、ワカメ御殿などが根こそぎ流され、17名の命が奪われた。暫くすると網を張り直していた漁師達が船から降りてきた。この浜の復興にまで援助の手は届かない。自力で浜を再生するしかないのである。15軒の漁師達がすべて持ち出しでやるより他ない。今自分に出来ることしか考えない覚悟を決めた鋭い眼差しが印象的である。ラーメンをすすり終えた漁師の父さんが「津波の脅威」を噛みしめるように呟く。子供の頃から遊んだ海は今も蒼く美しい。「この海があんな事するんだもんねェ」と長老の漁師が謂う。「今度はいつ来るの?」と謂いながら、僅かばかり獲れたワカメと津波を逃れた畑で採れた野菜を無理矢理手渡し「万分の一でも・・・」と譲らない。「今度来てくれた時は、ぜんざい作っておくからね」と母さんが謂う。菊農家の爺ちゃんはたった独りで他県へ果敢に売り込みをかけると謂う。「若けェうちにやらねばな」「あんたァ、幾つだと思ってんのさ」「明日よりは今日の方が若けェもんな」。絶望の淵から希望が湧き、寒い浜で「想い」と「思い」が交錯する。

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