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一日一善 FAR EAST Inc. Blog

親日トルコ人エーゲ海を臨むイズミールは美しい街だ。海に面して1kmくらいはあるだろうかレストランやカフェが軒を連ね夜更けまで地元の老若男女で賑わう。サッカーの試合があればモニターに釘付けでヤイノヤイノの力道山現象。二ルギレという水タバコをふかしていると僕の脇を馬車や流しの歌手、モノ売りや何故か深夜に幼児まで次々と通り過ぎる。前にも書いたがここトルコはイスラム圏であってイスラム法制下にない。酒はゼンゼン構わないし、女の子の露出度も高く、その自由な気風はヨーロッパのようだ。バザールの喧騒の中チャイ屋で日本で謂えば囲碁のようなゲームに興じるご老人達の脇に座ってそれを見ていると「日本人か?」とすぐに訊いてくる。「あぁ、そうだよ」というとトルコ語と日本語をゴチャマゼに我が国を褒めちぎる。トルコを訪れた日本人がよく目にする光景だ。このやや一方的な友好ムードの背景には謂わずと知れたエルトゥールル号事件がある。知らない人の為に少し書いておこう。今から100年以上も前にオスマントルコ帝国皇帝の親書を携えて明治天皇に奉呈しにやってきた初の親善訪日使節団を乗せた木造船エルトゥールル号が帰路和歌山県沖で台風に遭い難破、沈没した。587名もの命が失われたが、漁師たちの懸命の救助と手厚い介護により生き残った69名の生存者を我が日本国は軍艦2隻によりトルコまで無事送り届けたという話である。以来トルコでは伝説的に有名ないい話として謂い伝えられ、それは長らく小学校の教科書にも載ることとなった。それから約100年後のイラン・イラク戦争での緊迫した状況下、イラン国内に取り残された日本人が自衛隊機による救援も日本航空機による救援も拒否されるという危機的状況にあった際、トルコ政府は恩返しとしてすぐに救援機を出し215名の日本人を無事全員脱出させたという逸話がある。お爺さんの世代から口伝で、或いは幼い頃からの教育で日本に対する「恩義」が染みついているというのである。トルコを歩き廻っているといつもイイ気分でいられるのは先達が施した無償の行為の賜物だということがとても有難く感じられるのと同時に身に覚えのない事に対する謝意にいささか気恥ずかしさも覚えてしまうのである。ずっと昔のそれも会ったこともない漁民の善意が1世紀を経た今でもこんな風に恩恵をもたらすとはやっぱり人間いいことはするもんだと感じるのである。